FPD設備投資額推移 - 2018年の200億ドル規模から2019-2020年は150億ドルレベルに軟着陸
1. 全体動向
このほど、最新版となる”DSCC’s Quarterly Display Capex and Equipment Market Share Report”がまとまった。 下部の2つのグラフはディスプレイ技術(LCD、OLED)別、応用分野(モバイル、TV/IT)別に設備投資額の推移を示している。
OLEDへの設備投資は、2017~2018年でアップル向けと中国初期投資バブルにより、モバイル向けで年間100億ドル以上の高水準の投資が続いた。しかし、2019年はキャパシティの大幅な余剰感からモバイル向けOLED投資が15億ドル規模へ急減。一方、2020年は補助金を有する中国勢のモバイル向けOLED投資が活発になるため、モバイル向けOLEDが71億ドルまでリカバリーする。2021年も同様の傾向でモバイル向けOLED投資が75億ドル規模に増加する見通しである。
一方、TV/IT用途のOLEDは、2019年までは堅調に増加し、2019年投資規模は、主にLGDの中国投資により、43億ドルまで増加。しかし、2020年にはほぼSDCのQD-OLED向け投資だけになるため、20億ドル規模に減少する見込みである。2021年にはSDCのQD-OLED投資が一休みとなる見込みであるが、2021年TV向けWOLED投資は、LGD中国工場の追加投資月産45kシート投入の16億ドルのみをカウントしているものの、この投資可能性は低い。
LCDへの設備投資は中国でG10.5/G8.6/G8.5への投資が、2020年まで高水準で続いている。2021-2022年はCSOT T7とHKC H5のみをカウントしているが、他のLCD投資計画は上がってこない状況である。
応用分野別にみると、TV/IT機器向けは2019年にピーク(131億ドル)を迎え、その後は減少傾向となり、2021年にはピーク時の1/2以下の規模の52億ドルにまで減少する見通し。 一方、モバイル機器向けは2019年に大幅に減少し15億ドルしか設備投資がなかったものの、2020年からは増加に転じ、2021年には75億ドル規模まで回復しそうだ。
2. トピックス
今回の予測には、HKC(惠科)では2019年に量産を開始したH2(G8.6、LCD)、2020年に量産を開始するH4工場(G8.6、LCD)に引き続き、中国・湖南省・長沙に建設するH5工場(G8.6、LCD)の投資が追加された。 また、CSOT(China Star)では、中国・広東州・広州にT8工場(G6、OLED Ink Jet Printing)が車載やモニター用途の中型パネル生産を当初計画されていたが、T9工場(G8.5、OLED、Ink Jet Printing)に変更されたと見ている。 T9工場ではTV用パネルに加え、中型パネルを生産する可能性もあると思われる。
SDC(Samsung Display)は韓国・湯井のA5工場(G6、OLED)に、2021年から2024年にかけて60kシート/月まで増強させると見ているが、DSCCではA5工場ではOLEDの薄膜封止(TFE:Thin Film Encapsulation)の上にカラーフィルタ(反射防止用で、従来の円偏光板からの置き換え)を形成することを前提にしている。
また、SDCのQD-OLED(Quantum Dot-OLED)についてはG8.5の基板サイズの工場を2021年から2024年にかけて湯井に3ライン設置し、2024年には90kシート/月の規模になりそうだ。
SDCとLGDによるLCD生産ラインの縮小は当初より前倒しされそうであり、ライン縮小の結果、パネルの値上げにより、市場環境は好転するであろうと見ている。
ご案内手順
1) まずは「お問い合わせフォーム」経由のご連絡にて、ご紹介資料、国内販売価格、一部実データ付きサンプルをご返信します。2) その後、DSCCアジア代表・田村喜男アナリストによる「本レポートの強み~DSCC独自の分析手法とは」のご説明 (お電話またはWEB面談) の上、お客様のミッションやお悩みをお聞かせください。本レポートを主候補に、課題解決に向けた最適サービスをご提案させていただきます。 3) ご購入後も、掲載内容に関するご質問を国内お客様サポート窓口が承り、質疑応答ミーティングを通じた国内外アナリスト/コンサルタントとの積極的な交流をお手伝いします。