値上げに転じるテレビ用液晶

Published July 1, 2020
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第29回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

テレビ用液晶パネルの価格が上昇に転じそうだ。新型コロナウイルスの影響もあって、4月、5月と値下がりが続いてきたが、6月から値上がりに転じている。元々7月から値上がりと言われていたが、1か月前倒しされた格好だ。

グラフは、2019年以降の55インチと65インチのキャッシュコスト(棒グラフ)とパネル価格(折れ線グラフ)を示している。2019年当初はキャッシュコストと価格に差があり、パネルメーカーは利益を確保できていたが、19年下期以降はキャッシュコストを下回る状況が現在も継続している。

価格が上昇に転じたのは、テレビブランドが秋~年末の商戦に向けてパネルの調達を積極化し始めたため。この背景には、2020年上期のテレビ販売が北米市場を中心に想定を上回ったことがある。新型コロナの影響で2020年上期の販売台数は前年同期を下回っているのが実態だが、予想以上の北米の巣ごもり需要によって当初の需要想定を上回っている。

また、韓国パネルメーカーの減産で「この先はタイト感が強まる」との思惑が強まっていることや、これまでの価格下落で「もうこれ以上は下がらない」との見方が広がったことも、パネルメーカーの調達意欲を刺激しているようだ。

ただし、価格の上昇局面はそれほど長続きしないであろう。2019年春と20年初頭も同様だったが、パネル価格は「2-3カ月上昇して再び調整局面に」なるとみている。今回も数か月は上昇するが、年末商戦が盛り上がりに欠ければ、年末に向けて再び下落に転じる可能性がある。

韓国パネルメーカーの減産は今後も継続し、2021年にはテレビ用液晶パネル生産能力が4%減少する見通し。一方、同需要は8%増を見込み、タイト感が強まる。これに伴い、2021年には価格が本格的な上昇に転じ、パネル各社の黒字転換が期待される。

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Written by

Yoshio Tamura

tamura@displaysupplychain.com