Apple iPhone 2020年モデルのフレキシブルOLEDパネルコストとセット価格見通し
田村喜男の視点
当社の Quarterly Smartphone Display Cost Report は、実在モデルに採用されるOLEDパネルを対象にした生産ライン稼働率や設備投資額・減価償却費などに基づいた、(単なる業界平均値ではなく、主要パネルサプライヤーの実際の稼働率、歩留まり、収益状況を反映した)実質的コストモデルを提供している。Q2’20版では、iPhone 12シリーズ、Galaxy S20シリーズ向け120Hz駆動フレキシブルOLEDパネルコストのブラッシュアップ更新データの他、LTPS LCDの対抗馬となる低価格HD解像度のリジッドOLEDパネルコストの分析も追加された。
今回のポイント解説は、Apple iPhone 2020年モデルのフレキシブルOLEDパネルコストとセット価格見通しを述べたい。2020年モデルの5.42”/6.06”/6.67”サイズのフレキシブルOLEDパネルコストは、2019年モデル製品化時の5.85”/6.45”のコストと比較して20%程度下落しそうだ。今回の大幅なコスト引き下げの背景は、2019年モデルの外付けタッチパネルとCOF(Chip on Film)のドライバーICに代わって、2020年モデルの5.42”と6.67”サイズではオンセルタッチYOCTAとCOP(Chip on Plastic)のドライバーICを採用したことが大きなポイントなる。AppleがこれらSDC発の技術をようやく受け入れ、今回のパネルコストダウンにつながったとも言えよう。
下図:Costs / Prices for iPhone 2020 Display Panels, Korea Production
グローバル版ブログで示されている2020年の6.06” フレキシブルOLEDの総コスト$65は、同サイズのLCD+20%程度の領域まで下がってきた。Appleの2018年モデルのセット価格は、OLED XS $1,099/$999、LCD XR/8+ $749/$699であったが、2020年のOLED 4モデルは類似のセット価格構成になりそうだ、との噂がある。LGDの参入で2019年から2社の供給体制に、2021年には中国BOEが参入して3社体制となり、コスト・価格もさらにもう一段引き下がることが期待される。ご承知の通り、中国BOEは大きな政府補助金を有しており、そのパネル総コストはキャッシュコストに近くなる。従って、パネル歩留まりが安定すれば、2021年モデルでは日韓の6.06” LTPS LCDを下回る$50レベルのパネル価格を値付けることになるかもしれない。
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