先端技術ディスプレイ搭載TV~OLED、QDが成長をけん引
DSCC田村喜男の視点
当社の Quarterly Advanced TV Shipment Report は、先端技術ディスプレイであるWOLED、QD OLED、QDEF (QD LCD)、デュアルセルLCD、Mini LED、Micro LED、ローラブルOLED、8K LCDなどを搭載した高機能TVセットを調査対象にしている。2017年から2025年までの出荷数量、製品価格、出荷金額を、技術別、地域別、サイズ別、解像度別の詳細データで示している。ブランド別に関しては、実績数値のみではなく、当四半期の見込み数値も披露している点が大きな特長である。本調査レポートは、これら先端技術ディスプレイに関わる多方面のプレーヤー様の足元のビジネス活動と今後の事業計画にご活用いただけるものと確信している。
さて本稿では、今週のグローバルブログ「Samsung Extends Lead in Advanced TV Shipments in Q2」を受けて、私からも日本の読者様向けの補足解説を行いたい。
COVID-19のインパクトにより、2020年のWWのTV市場全体は昨年比5%減少する見込みだが、先端技術FPD搭載のTV市場は同+25%増と大きく成長する見通しである。2020年時点では、QDEF (QD LCD) が8,800万台、WOLEDが3,200万台と圧倒的な需要を示しているが、今後はMini LEDの増産とQD OLEDの2021年量産化が注目される。Micro LEDは、2021年に88” UHDの大型サイズ、$50,000以上での製品化が見込まれており、超ウルトラハイエンド市場の位置づけになる。
QDEF (QD LCD) 市場は、2020年上期でSamsungが84%の圧倒的なシェアを占め、中国勢とVizioが参入している。今後も中国勢の増産が市場拡大のポイントとなる。QDEFの平均価格は2019年上期から2020年上期にかけて、$1,700台から$1,100台と大きく下がり、ハイエンドからミドルエンドに向かってLCDを侵食してきている。
WOLED市場は、2020年上期でLGEが61%、SonyとPanasonicで31%、と上位3社にシェアが集中しているが、2020年下期以降の大きな需要増加は、やはり中国ブランドに最も依存する格好となるであろう。WOLEDの平均価格は2019年上期から2020年上期にかけて、$2,200台から$1,700台へと下がり、$1,500以下の価格帯に侵食してきている。今後のポイントは、LGD中国GP3ラインの量産化による低価格化、MMG (2つのサイズを1枚の基板から生産) による65”と77”のコストダウン、48”の量産化、77” 8Kの立ち上げ、などである。印刷方式OLEDに関しては、7月末のディスプレイ産業分析記事の量産立ち上げ見込みに基づき、2023年末商戦あたりでの製品化が想定される。
QD OLED (QD Display) は2021年Q3のパネル量産開始計画であるが、WOLEDより高コストであり、どの程度の割高価格に抑えて製品化されるのかが注目される。当初の採用ブランドは、Samsung、Sonyなどが見込まれている。
需要が成熟化してきているTV市場は、大型化が進む一方、低価格化が進行してきているが、このような先端技術パネルの搭載率増加による技術革新は引き続く。とりわけMini LED技術が脚光を浴びてきており、そのコスト構造や需要見通しについてもいずれ解説したい。
本記事の出典調査レポート
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