田村喜男の直前解説!第三弾「65” TVパネルコスト比較」
田村喜男の直前解説!第三弾「65” TVパネルコスト比較」
本稿では、講演資料の第四章『FPD次世代パネルコスト比較』において解説する65” TVパネルコスト見通しにつき事前紹介したい。次世代技術として、この図ではQD LCD (QLED)、 WOLED、8K LCD、Inkjet OLEDを取り上げているが、Mini LEDに関してもコメントする。
WOLEDは中国生産とMMG (1枚の基板から2つのサイズを同時に生産) により、2021年から大きなコストダウンが期待される。2021年には中国量産が軌道に乗り、65” UHD WOLEDで$600程度までのコストダウンが期待される。
Inkjet OLEDは2024年ころの量産開始が見込まれるが、生産が安定化するのは2026年ころと想定しており、その段階で、WOLEDより10-20%のコストダウンが期待されるが、まだLCDの2倍のコスト。65” UHDの場合、インクジェットで割高な投資コストを含まないキャッシュコストの方が大きなコストダウン (20%程度) となり、インクジェット方式の採用は中国生産が優位となる。
8K LCD (120Hz) は、図の通りWOLEDより低コストで、今後はLCD (60Hz) 比1.5倍程度のコストとなる。
最後に、QD LCDにMini LEDを搭載したパネルコストに関して分析してみる。PM方式のPCBをバックプレーンに採用したローエンド仕様では、QD LCD+$200~300程度のパネルコストが可能となる。実際に、中国TCLが最近Mini LEDバックライト搭載のQL LCD (QLED) 製品を発表したが、65” QLED $629に対してMini LED QLEDで$899 (QLED+$270) を実現した。Mini LEDモデルに対する画質の検証が必要であるが、大手中国ブランドがとにかくこのようなMini LED搭載のQLED TVを増産してくる可能性が高まってきたと言えよう。
講演資料では、今後注目されるMini LEDバックライト搭載LCDコストもチャートに追加して解説する。
下図出典) DSCC Quarterly Advanced TV Panel Cost Report