JDI株主総会を受けて
DSCC田村喜男の視点
ジャパンディスプレイ (以下JDI) は8月26日に株主総会を開き、いちごアセットマネジメントからの最大604億円の追加支援を可決した。主力のスマートフォン向け以外の売上高比率を50%に高める方針を明言した。2019年1-12月期の売上は5,500億円程度、70%がスマホ向け (60%がアップル向け)、車載向けが20%と、アップル依存度が高い。
DSCCの見立てでは、シャープがJDI白山工場を買収すると、iPhone向けシャープのシェアが高まり、JDIのシェアは減少する可能性が高い。一方で、iPhone向けLCD需要は2020年で1億600万枚、21年には9,200万枚、その後も年々徐々に減少していく見通しである。従って、JDIがスマホ向けの売上高比率を70%から50%以下に引き下げるのは、不可避な事業戦略といえよう。
「ヘルスケアなど新規分野への応用を加速する」と表明しているが、規模の観点では、車載やスマートウォッチ事業での売上高拡大が現実的路線であろう。8月24日開催『COVID-19状況下のFPD市場総論セミナー』におけるDSCC予測では、車載用LCD世界需要は2020年で前年比-17%と落ち込むが、COVID-19不況からの脱出に伴い、2022年には2018年並みへの回復が見込まれる。しかし、車載用LCD市場でも中国Tianma、BOEのシェアが増加。JDIがここでシェアを増加させるのは容易ではなさそうだ。
筆者 (田村) としては、スマートウォッチ事業での売上高増加を期待したい。スマートウォッチ向けはフレキシブルOLED (LTPO) で量産しているが、2020年第3四半期には歩留まりを大幅に改善している模様だ。2020年で150億円程度が見込まれるが、今後月産2,000枚の基板投入で年産2,400万枚以上を実現すれば、年間1,000億円程度の売上高も視野に入り、これでスマホ向けの減少分を補う規模が実現可能となる。