LCD生産能力鈍化と部材事業の再編
DSCC田村喜男の視点
本稿では、今週のグローバルブログ Latest Large-Area Display Capacity Outlook Shows 1% Decline in 2021 を補足解説したい。
韓国LCD生産のダウンサイジング・閉鎖により、2021年の世界TV用パネル (第7世代以上、OLED含む) 基板投入能力は前年比1%減となりそうだ (下図)。その後2022年から25年にかけても、年率3%程度の増加予測に留まる。
2021年におけるOLEDの世界基板投入能力は、LGD中国工場の増産が寄与して前年比54%増を見込む一方、LCDは同3%減となる。SDCの韓国LCD生産は2020年末で閉鎖、LGDは21年末で韓国でのTV用LCD生産を終了する計画である。昨今の好調なLCD需要の影響もあり、LGDは第8.5世代だけでなく、第7世代生産 (IT用の比重が高い) を2021年も継続する方針に転換したようだ。SDCは中国蘇州の第8.5世代工場をChina Starへ売却、2020年末をもってTV用LCD事業から事実上の撤退となる。
世界のTV用LCD基板投入能力は、2022年から25年にかけても年率2%増の微増にとどまり、LCD部材メーカーは能力増強をほぼ必要としない状況である。実際に、足元のQ3’20ではドライバーICや偏光板などの供給タイトの声が聞こえる。LCD部材は積極的な増産はなく、パネル稼働率が高水準となれば、今後も複数の部材供給がタイトになるであろう。
TV用LCDライン (第7世代以上) における中国生産のシェアは、2020年の63%から21年、22年、23年以降は、74%、78%、80%と寡占化していく。台湾はダウンサイジングの計画がなく、中国以外の大部分は台湾が占める。このような韓国ダウンサイジングと中国寡占化に伴い、今後の部材メーカーの対応が注目される。基本的には、韓国事業を縮小あるいは閉鎖、中国生産シフトを強めざるを得ないことにつながる。
実際に、大手部材メーカーであるJSRのディスプレイソリューション事業は、台湾と韓国工場を閉鎖・ダウンサイジングし、中国へ移管・集約することを決定した (9月14日発表)。このような「中国市場」「高付加価値製品」「OLEDなど次世代ディスプレイ」への選択と集中といった事業再編が、ディスプレイ部材業界のひとつの流れとなっていくであろう。
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