世界TV市場
第37回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)
本日時点のDSCCの最新分析では、2021年の世界TV市場を前年比微増の2.6億台と予測しており、好調が続くとみている。なかでもWOLEDやQD OLEDを採用したOLED TV、量子ドット (QD) 材料やMiniLEDバックライトを搭載したLCD TVといったAdvanced TV (先端技術TV) の需要が、2021年から22年にかけて拡大すると考えている。先月開催された「CES 2021」では、エレクトロニクス各社の最新技術が多数展示された。
MiniLEDバックライトを搭載したLCD TVは、「6シリーズ」で先鞭をつけた中国TCLをはじめ、SamsungやLGなど大手TVブランドが軒並みラインアップする。2020年の出荷台数は1万台に満たなかったが、2021年は370万台に急拡大すると予測している。Samsungが150万台、LGが10万台、残りが中国ブランドの見込みで、ソニーは2022年に製品化する見通しとなっている。
ただし、韓国ブランドと中国ブランドでは価格戦略に違いが出そうだ。現在のところOLED TVを製品化していないSamsungはLCD TVの最上位モデルに位置づけ、LGもOLED TVに次ぐミドルハイエンドモデルとする見込みだ。一方で、中国ブランドはTCLの6シリーズに倣って1000ドル以下のミドルハイクラスとしてラインアップを拡充し、OLED TVとの価格差を維持する。
LCDに対抗するOLED TVでは、サイズラインアップの拡充が進む。4Kモデルとして既存の48・55・65・77インチに加えて、83・42・31インチを発売し、42・31インチはモニター市場にも展開する。画面サイズの小さな価格競争力あるモデルを増やし、市場のさらなる拡大を図っていく戦略だ。
また、これまでTVとしての商品化が具体化していなかったSamsungのQD OLEDも、2022年モデルのTVとして発売される見通しとなった。
昨年までTV市場では8Kへの高解像化がブランド戦略の一端を占めていたが、今回のCESでは8K化は鳴りを潜め、代わりにAdvanced TVの拡充でユーザーに高級感を提案する流れに変わった。価格帯に一定のすみ分けができるため、OLEDとLCDが共存共栄する市場になるのではないか。
もう1つ、Samsungが発売したMicroLED TVも超ニッチかつ超ハイエンドな市場を形成する。110インチの価格は約15万ドルときわめて高価だが、99・88・75インチとサイズラインアップを増やし、10万ドル前後を視野に一定の需要を喚起していく。2021年には2000~3000台、サイズが揃う2022年には2万~3万台の出荷が見込まれている。
(本稿は、2月4日付「電子デバイス産業新聞」のDSCC連載記事を基にしています)
本記事の出典調査レポート
Quarterly Advanced TV Shipment Report
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