拡大期に入るフォルダブル/ローラブル型スマートフォン市場

Published April 2, 2021
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第39回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

2021年は、フォルダブル/ローラブル型ディスプレイを搭載したスマートフォン (以下スマホ) が普及し始める年になりそうだ。DSCC発行の Quarterly Foldable/Rollable Display Shipment and Technology Report (一部実データ付きサンプルをお送りします) では、2021~25年のフォルダブル/ローラブル型スマホ市場は年平均成長率 (CAGR) 92%で拡大し、2025年には950億ドルに達すると予測している。

2021年は、フォルダブル型スマホ市場の開拓者であるSamsungがGalaxyのFoldシリーズで1機種、Z Flipシリーズで2機種を新たにリリース予定である。米Motorolaや中国のRoyoleに続いて、中国Xiaomiも新機種を投入する。さらに年末に向けてOPPO、Vivoといった中国勢に加え、Googleもフォルダブル型スマホを投入すると見込まれ、ラインアップが一気に増えそうだ。

フォルダブル型スマホには6.7~8インチ前半の有機ELディスプレイが主に搭載されるため、パネルメーカーにとって生産面積の拡大につながる。だが、量産供給できるメーカーはまだ限られる。

これまでに量産供給実績があるのは、韓国のSamsung Display (SDC)、中国のBOEとCSOT、Royole、台湾のAUO。2021年はBOEとCSOTの供給量が増えそうだが、中国スマホメーカーもフラッグシップに位置づけるフォルダブル端末にはSDC製パネルを搭載せざるを得ないと考えられ、フォルダブル有機ELの供給シェアは依然としてSDCが8~9割を握る構図に変わりなさそうだ。

フォルダブル有機ELの搭載拡大で期待されるのが、新たな部材需要の拡大である。その筆頭が超薄型強化ガラスであるUTG (Ultra Thin Glass)。これまでUTGはSamsungのGalaxyにのみ採用されてきたが、2021年はSDCから他のスマホブランドへの外販拡大が見込まれ、共同開発パートナーである独Schottも大きな恩恵を受けるだろう。他のガラスメーカーがUTGを投入し、どう追随していくかも注目ポイントとなる。

UTGの競合技術となるのが透明ポリイミドフィルム (CPI) だ。すでに韓国のKolonや住友化学らが市場投入しており、ノートPCやモニターなどの中~大型パネルにはUTGよりも適性が高い。3つ折りのスマホ用パネルにも採用が見込まれており、中国のパネルメーカーから引き合いが増えそうだ。

バックプレーンにはLTPOの採用が拡大する。AppleのiPhoneが2021年モデル2つでLTPOを採用する。さらなる低消費電力化とリフレッシュレートの向上を実現するためで、LTPSからの切り替えが順次進展するだろう。

こうした部材の進化が今後ローラブル型への進化を牽引していくとみられるが、まずは今年、フォルダブル型スマホが欧米を中心に市場でどれだけ受け入れられ、販売を伸ばせるかが今後を占う試金石になる。

(本稿は、4月1日付「電子デバイス産業新聞」のDSCC連載記事を基にしています)

※クリックで鮮明表示されます ※出典: Quarterly Foldable/Rollable Display Shipment and Technology Report

本記事の出典調査レポート
Quarterly Foldable/Rollable Display Shipment and Technology Report

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Written by

Yoshio Tamura

tamura@displaysupplychain.com