スマートフォン用OLEDメーカー出荷とバリューチェーン分析
田村喜男の視点
DSCCはOLEDメーカー世界各社の出荷データ及び対セットブランドとのサプライチェン動向を分析した Quarterly OLED Shipment Report の最新号 (Q2'21版) を発刊した。本稿ではその分析データベースから読み取れるポイントを列記する。
・スマートフォン (以下スマホ) 用FPDの出荷数量は、2020年はコロナ影響で対前年比-8%と大幅な減少であったのに対して、2021年は現時点では+6%程度を予想している。ただしインドなど新興国でのコロナ影響によるさらなる販売低迷が成長率を押し下げるリスクがあると考えている。
・ブランド別の動向を見ると、2021年はHuaweiが米国の対中制裁により大幅な出荷数量減少となる一方、その他の主要ブランド各社は前年から出荷数量増となり、特にXiaomi、Oppo、Vivoの中国3ブランドは+30%以上の成長を想定しているが、中国および新興国需要次第ではやや下振れの可能性もある。
・スマホ用FPDの2021年の出荷数量をフレキシブル、リジッド、LCDの区分で見ると、フレキシブルは成長を維持し、LCDは減少するトレンドは2021年も継続すると予想されるが、2020年に減少したリジッドは2021年には出荷数量増となると見込まれる。
・フレキシブルOLED出荷数量は、2021年もSDCが増加するのに加えて、LGD、China Star、Tianmaも大きく増量する見通しである。
・リジッドOLED出荷数量では、SDCはSamsung Galaxy向けが減少するものの、Xiaomi、Oppo、Vivoの中国3ブランド向けが増えることで、前年を上回る見通しである。またEDO、Visionoxも中国ブランド向けに増量する見込みである。
・フレキシブルOLED のサプライチェーンを見ると、AppleはSDCが筆頭サプライヤーであることは変わらないが、2020年からLGDのシェア増加が引き続いている。中国ブランドではOppo、Vivoは案件によって、SDCとBOEを使い分けている。XiaomiはChina Star、SDC、Tianmaからバランスよく調達しているが、2022年以降はChina Starのシェアが大きく増加する計画 (中国パネルメーカーの2/3程度) が立てられている。
・リジッドOLED のサプライチェーンでは、Samsung、Oppo、Vivo、XiaomiはSDCからの単独購買が引き続いている。しかし、HuaweiとHonorは国内調達が必至となり、2021年からはEDOから調達し始め、今後はVisionoxの参入もあるかもしれない。
・以上、中国ブランドのOLEDサプライチェーンは、特にフレキシブルパネルにおいて中国パネルメーカーのシェアが高まっていく傾向となる。中国パネルメーカーが補助金投資を継続している限り、中国ブランドが自国調達の依存度を高めていくのは当然のことであり、これに対応して、SDCはUTG搭載のフォルダブルOLEDやLTPOなど先端技術フレキシブルOLEDの拡販を展開していく。
本記事の出典調査レポート
Quarterly OLED Shipment Report
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