AR/VR用FPD市場分析~2028年に1億1900万枚の見通し
この記事は5月15日付 (米国時間) のプレスリリース AR/VR Panel Shipments to Reach 119M Units by 2028 をDSCC Japanのスタッフが全文和訳したものです (5月19日 13:30版)。出典調査レポート Semi-Annual AR/VR Display Technology and Market Report の詳細仕様・販売価格・一部実データ付き商品サンプル・WEBご試読は こちらから お問い合わせください。
DSCCの Semi-Annual Augmented and Virtual Reality Display Technologies and Market Report 最新号 (2023年前期版) によると、VR (仮想現実) 用FPD出荷は今年、17.6%増となる見通しだという。FPD出荷数は2022年の1360万枚から2023年には1600万枚に増加するとDSCCでは予測している。
DSCCのディスプレイ調査ディレクターであるGuillaume Chansinは「FPD出荷の増加は以前の予測を下回っている。DSCCは当初、Meta Quest ProやPico 4など新たなヘッドセットの発売によって、これらがデュアルLCD構成であることから、FPD出荷が大幅に増加すると考えていた。しかし、これまでのところこれらのデバイスの販売がかなり期待外れであることは承知している」と述べている。
Sony PSVR2もその成否を判断するのは時期尚早だ。Sonyはホリデーシーズンに間に合わず、このヘッドセットの出荷開始は2月になってからだった。このデバイスは高解像度AMOLEDのおかげである程度の賞賛を得ているが、PSVR2はPlayStation 5の比較的高価な付属品であり、他のゲームシステムでは使用できない。AMOLED出荷の開始は昨年だが、DSCCは2023年には生産率がやや低下すると予測している。
長期展望は引き続き楽観的だが、成長ペースは鈍化する。DSCCではAR/VR用FPD出荷数が2028年までに1億1900万枚に達し、セグメント別ではVRが優勢になると予測している。今後登場するQualcomm Snapdragon XR2 Gen2を搭載した新たなヘッドセットにより、2024年には大幅な成長が見込まれている。MetaはQuest 3を年内に発売することをすでに認めている。Samsungも独自のヘッドセットを開発しており、久しぶりに市場に再参入する可能性がある。
Appleもヘッドセットを発売すると見られるが、当初の台数は少ないだろう。Appleが採用しているのは高解像度のSiOLED (OLED-on-Silicon) で、これはMicro OLEDとしても知られている。Appleはこれまでにこの製品の発売を何度も延期しており、6月のWorldwide Developers Conference (WWDC) で正式発表されるかどうかについてはまだ憶測が残っている。たとえAppleが来月このデバイスを発表したとしても、生産が開始されるのは今年のかなり遅い時期になる可能性が高い。2023年のSiOLED出荷額は以前の予測よりも低くなると予測されている。
SiOLEDは中国ブランドによって、いわゆるSmart Viewerですでに採用されている。Smart ViewerというシースルーARデバイスを使用することで、ユーザーは仮想モニターを投影してコンテンツを視聴できる。VRではディスプレイサイズを大きくする必要があるため、SiOLEDを使用するとコストが大幅に高くなる。これまでに数社の中国メーカーが生産能力増強とコスト削減に向けた投資を行っている。Samsng Displayもパイロットラインの構築を開始しており、今年後半に生産を開始する予定だ。
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DSCCはFPD業界に最も包括的な市場調査を提供しています。この最新レポートは、LCD、AMOLED、LCoS、DLP、LBS、MicroLED、SiOLED など、AR/VRで使用されるさまざまなFPD技術の全体像を提示します。また、主要サプライヤーと各社のロードマップも紹介します。ARとVR、両市場の予測はFPDタイプ別に分類され、今後最も収益を生み出すと考えられる技術が提示されています。お問い合わせは お客様窓口 までご連絡ください。
またDSCCは2023年9月12日-13日に3回目となる AR/VR Display Forum を開催します。このバーチャルイベントでは、高解像度、広視野角、長寿命バッテリー搭載の没入型ARおよびVRヘッドセットを実現するFPDの製造と商品化に関する最新動向を取り上げます。このイベントに講演者またはスポンサーとしてのご参加をご希望の方はDSCCまでご連絡ください。