FPD生産能力の最新予測
出典調査レポート Quarterly Display Capex and Equipment Market Share Report の詳細仕様・販売価格・一部実データ付き商品サンプル・WEBご試読は こちらから お問い合わせください。
この記事は8月21日付 (米国時間) のDSCCグローバル発ブログ DSCC Downgrades Display Capacity Forecast for 7th Straight Quarter, Display Capacity Growth Outlook Continues to Flatten をDSCC Japanのスタッフが全文和訳したものです。
これらDSCC Japan発の分析記事をいち早く無料配信するメールマガジンにぜひご登録ください。ご登録者様ならではの優先特典もご用意しています。【簡単ご登録は こちらから 】
DSCCでは2020年と2021年にLCD市況の改善から6四半期連続でFPD生産能力予測を引き上げたが、その後はLCDメーカーの赤字が続き、延期、中止、生産ライン閉鎖などの理由でQ1’22から7四半期連続で下方修正している。Quarterly Display Capex and Equipment Market Share Report の最新予測では、前期比1%減、ピークレベルからは14%減となっている。現時点の予測では、FPD生産能力は2022年から2027 年にかけて年平均成長率1.1%の伸びにとどまると見られており、需要が数量ベースまたは面積ベースで急増した場合、さらに深刻な不足となる可能性がある。
2020年に6%増、2021年に11%増、2022年に5%増となったFPD生産能力だが、FPDメーカーは現在生産能力の適正化に注力しており、景気循環型で現在は不採算のLCD市場から撤退している企業も見られる。その結果、生産能力は2023年に2%減少し、2024年から2027年にかけて年間1%-2%の伸びにとどまると予測されている。多数のメーカーが利益率向上を目指して、生産能力をa-Si TFT LCDなどのコモディティから、差別化の進んだLTPSおよびLTPO OLED、LTPSおよびIGZO LCDに転換している。こうした先進FPD技術は資本集約度が高く、必要となるマスクも多くなることから、転換によって通常は能力が減少する。ただし、生産能力が十分に伸びず主要LCDメーカー間で統合が進めば、市況が劇的に改善され大手メーカーが支配的な力を得やすくなる事態も考えられる。LCD生産能力におけるBOEとChina Starのシェアは2020年にはわずか30%だったが、2025年から2027年には46%を占めると予測されている。中国では競争力のある調達源の確保を目的に既存LCD生産ラインへの投資を試みるTVブランドが増え、必然的に需給が逼迫する可能性がある。
テクノロジー別の生産能力成長を見ると、LCDは当然のことながら7四半期連続の引き下げで、2022年から2027年までの年平均成長率は0.7%にとどまると予想され、前期予測の1.0%から下方修正となっている。一方、OLEDは前期と比べて1%引き上げ、2022年から2027年にかけて年平均成長率5.2%で成長すると予測されるが、FPD生産能力全体に占めるシェアは10.3%にすぎない。LTPS/LTPO/Oxideバックプレーンによる生産ラインとして定義されるモバイル/IT生産ラインについては、OLEDが2022年から2027年にかけて年平均成長率7.3%で成長、現在58%のシェアが61%に上昇すると予測されるのに対し、LTPS/Oxide LCDの年平均成長率は2.6%となる見通しだ。
用途別では、LCD TV/ITが2023年から2027年にかけて73%-74%のシェアで引き続き優勢、続くLCDモバイル/ITのシェアは現在の18%から2027年には16%に低下すると予測されている。
レポート最新版ではAUOとInnoluxの生産ラインにおけるLCD生産能力の縮小にも注目しており、2023年から2027年にかけて面積ベースで7%減、基板数ベースで17%減の予測となっている。台湾の生産能力が低下していることから、中国が本レポート掲載の予測期間終了までに全用途/テクノロジーで最低47%のシェアを確保、TV/ITではシェア78%を獲得する見通しである。