TV用LCD価格 (5月度分析)

Published May 1, 2023
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この記事は5月1日付 (米国時間) のグローバルコラム LCD TV Panel Prices Increasing in Q2 – Can the Rally Last? をDSCC Japanのスタッフが全文和訳したものです (5月2日 13:00版)。

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TV用LCD価格は2022年9月に過去最低値を記録し、2四半期にわたって緩やかに上昇した後、Q2’23に入って堅調な上昇を示している。Q3’22からQ1’23にかけてLCD生産ライン稼働率が通常水準を大幅に下回ったため、サプライチェーン内の過剰なTV用LCD在庫が一掃され、LCD購入が回復し始めた。第2四半期になってLCD生産ライン稼働率が上昇しているため、価格の上昇は短期間で終わり、Q3’23には価格が安定すると予測される。

一つ目のグラフは2023年9月までのTV用LCD価格動向の最新予測である。パンデミック後の2021年中盤から2022年夏にかけて価格が急落したことがグラフに表れている。価格は2022年9月に過去最低値を記録し、Q4’22からQ1’23にかけて緩やかに上昇した後、2023年4月に大幅な上昇を示し始めた。

価格が第3四半期から第4四半期にかけてV字型パターンを示したため、Q4’22の平均価格は前期比でほぼ横ばいとなり、12月の価格は9月より3%高かったにもかかわらず平均ではわずか0.1%しか上昇しなかった。Q1’23はさらに好調で平均価格は前期比で2.9%上昇したが、今四半期はFPDメーカー各社にとって劇的な改善が見込まれ、平均価格は前期比で12%上昇すると予測されている。

TV用LCD価格の推移

第2四半期にはすべてのサイズのTV用LCD価格が上昇しているが、なかでも65インチが最大の上昇率を示している。これらの大型LCDの価格は4月に前月比11%上昇し、5月には前月比5%上昇を示している。他のサイズの価格は4月に2%~8%、5月に2%~5%の範囲の上昇率を示している。価格の上昇は6 月も引き続き減速し、平均価格は前月比2.1%上昇にとどまると予測されている。3月から6月にかけての価格の上昇率は6%~18%の範囲になる見通しだ。

価格の動きは生産ライン稼働率と類似したパターンを示している。稼働率のパターンは各企業で異なるが、業界全体のTFT LCD生産ライン稼働率はQ3’22に底を打ち、生産能力のわずか65%での稼働となった。稼働率はQ4’22に67%へ、Q1’23には70%へとわずかに上昇したが、Q2’23になって79%へと急上昇している。Q3’22からQ1’23にかけて稼働率が低下したためサプライチェーン在庫は一掃されたが、Q2’23の稼働率急上昇によってTVメーカーと小売業者は在庫を補充することができ、LCD価格の上昇圧力は取り除かれるだろう。そのため、7月以降のLCD価格は前月比横ばいになると予測される。

面積ベースの価格に注目すると、価格帯が正常化していることがわかる。2022年8月から2023年3 月にかけて、面積ベースでは65インチのTV用LCD価格が最も低かったが、ここ数ヵ月の上昇によって65インチが主流になっている。2023年5月には65インチまでのLCDの面積ベース価格が1㎡あたり114ドル~131ドルの範囲になる見通しだ。

1㎡あたりのTV用LCD価格の月次推移

最大の画面サイズである75インチと85インチの価格は小さいサイズに比べて割高だが、その割合は1年前に比べて下がっている。2022年5月には、75インチの販売価格は基準となる32インチよりも39%高の1㎡あたり167ドルで、85インチは32インチより65%高の1㎡あたり198ドルだった。2023年5月現在、75インチは32インチより21%高の1㎡あたり142ドル、85インチは32インチより27%高の1㎡あたり148ドルで販売されている。

最後のグラフは、2015年から2023年9月までの長期的視点によるTV用LCD価格指数を示している。2023年5月には価格上昇が予測されるため、価格指数は最低値であった2022年9月の30.5に比べ、37.6に上昇する。2023年6月には価格指数が2021年9月以来初となる前年比プラス領域に入る見通しだ。2023年6月以降、価格指数は38.4で安定し、史上最低だった2022年9月に対し26%上昇を記録すると予測されている。

TV用LCD価格指数

Q2’23の価格上昇はFPDメーカーにとって歓迎すべき救済となるだろうが、業界の生産能力は近い将来の需要見通しをはるかに上回っている。そのため、業界の稼働率が上昇すれば価格が再び下落するリスクは依然として存在する。6月末までにはLCDの需要と供給のバランスが取れ、価格は下半期に安定すると考えられるが、需要と供給の変化によってバランスが変化すれば、価格はまた下落する可能性もある。

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Written by

Bob O'Brien

bob.obrien@displaysupplychain.com