台湾FPDメーカーの出荷額は9月も引き続き増加

Published October 16, 2023
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この記事は10月16日付 (米国時間) のDSCCグローバルブログ Taiwan Panel Maker Revenues Continued to Increase in September をDSCC Japanのスタッフが全文和訳したものです。

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Taiwan Panel Maker Revenues Continued to Increase in September

FPD業界の回復は第3四半期も継続している。台湾FPDメーカーの総出荷額は7月にやや減少、その後8月と9月はともに前月より増加したことが先週の報告で明らかになった。数値が最低水準に落ち込んだ2022年下半期が比較対象であることから、出荷額は前年比ベースで2桁成長率を記録している。3社の9月出荷額は455億台湾ドル (14億2000万米ドル) で、前月比2%増、前年比33%増となっている。

今年6月に出荷額が2021年11月以来初めて前年比ベースで増加、長らく続いていた前年比マイナス成長に終止符が打たれた後、台湾FPDメーカーは現在、4ヵ月連続でプラス成長を記録している。9月の出荷額は前年比33%増だったが、パンデミックによる急増期間のピークに近い出荷額を示した2021年9月と比較すると、依然として29%低い値となっている。各FPDメーカーの2023年9月実績は以下の通りである。

  • AUO: 出荷額は前月比1%増、前年比51%増の246億台湾ドルだった。面積ベースでは前月比5%増だったが、面積ベースのASP (平均価格) は1%下落している。
  • Innolux: 出荷額は前月比4%増、前年比17%増の199億台湾ドルだった。前月比では大型の出荷数が増加した一方で小型の出荷数が減少している。
  • HannStar: 出荷額は前月比10%減、前年比横ばいの10億3000万台湾ドルだった。大型と小型ともに出荷数は前月比で増加している。
台湾FPDメーカーの月間出荷額
Source: Company Revenue Statements, DSCC analysis

Q3’23の台湾FPDメーカー出荷額は台湾ドルベースで前期比8%増、前年比29%増だが、台湾ドルの下落により米ドルベースでは前期比4%増、前年比24%増にとどまった。台湾ドルベースではAUOが前期比11%増、前年比41%増と最も大きな伸びを示しており、Innoluxは前期比5%増、前年比20%増で、HannStarは前期比4%減、前年比15%減となっている。

9月の大型パネル動向を見ると、Innoluxの出荷数は前月比3%増、前年比1%増の929万枚、HannStarの出荷数は前月比193%増、前年比383%増の26万1000枚となっている。小型パネルでは、Innoluxの出荷数が前月比16%減、前年比9%減の2140万枚、HannStarの出荷数が前月比18%増、前年比48%減の1430万枚となった。AUOの2023年9月出荷は面積ベースで前月比4%増、前年比67%増の207万m2となっている。

9月データにおける価格シグナルは各社異なる状況を示している。総出荷額を面積で割って算出した面積価格については、AUOが前月比4%下落、前年比11%下落の1m2当たり371ドルとなった。InnoluxとHannStarはともに小型パネルから大型パネルへの移行に伴って平均価格が大幅に上昇している。Innoluxの平均価格は前月比15%上昇、前年比23%上昇の20.25米ドルとなった。HannStarの平均価格は前月比25%下落、前年比84%上昇の1パネル当たり2.20ドルとなった。

AUOについては、9月の出荷数と出荷額の数値は、第2四半期の損益計算書で提供した第3四半期ガイダンスと一致している。AUOはガイダンスで、出荷面積が前期比一桁台前半の成長、4%増で570万m2から590万m2に増加すると予想していた。価格については1桁台前半の上昇を予想していたが、第3四半期の面積価格は前期比4%上昇となっているようだ。

Innoluxは損益計算書で、Q3’23の大型パネル出荷数は前期比横ばい、ブレンドASPは一桁台後半の上昇、中小型パネル出荷数は一桁台後半のマイナス成長を予想していた。Innoluxの大型パネル出荷はガイダンスを大きく下回って前期比17%減となったが、ブレンドASPは前期比12%上昇でガイダンスを上回り、小型パネル出荷はガイダンスをわずかに上回る前期比6%減となった。Innoluxでは大型パネル出荷が減少したにもかかわらず出荷額が増加しており、同社が製品構成を高単価の大型TVパネルにシフトしたことがうかがえる。

台湾FPDメーカー3社はいずれも第2四半期に大幅な営業損失を報告した。AUOは営業利益率-8%、Innoluxは-10%、HannStarは-32%を報告している。AUOの第3四半期の出荷額増加は利益率がプラスに回復した可能性を示唆しているが、Innoluxではその可能性は低く、HannStarはQ3’23に再び大幅な損失を報告する可能性がある。

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Written by

Bob O'Brien

bob.obrien@displaysupplychain.com