[11月20日開催] DSCC発 FPD産業分析セミナー 2024年後期版
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[開催記念インタビュー] 田村喜男が語る本セミナーの見どころ解説
調査会社 Display Supply Chain Consultants (DSCC) は、11月20日 (水) に東京コンファレンスセンター・品川で「FPD産業分析セミナー 2024年後期版」を開催する。その概要やFPD市場の展望をDSCCアジア代表の田村喜男氏に聞いた。
―2025年のFPD市場の展望は。
田村) パネル面積の成長が継続し、需給バランスの波は2024年とは異なり、下期の失速なく高稼働を維持できることを期待している。テレビ用パネル価格の上昇は1-3月期から4-6月期にかけて見込まれるが、下期に失速がなければパネル価格は下がらないという流れだ。背景としては、テレビ用パネルの大型化継続に伴う面積成長率予想6.0%に対し、生産キャパシティーの増加率は新ラインの計画がないため1.3%にとどまるとの見方から、2025年下期は今期よりも良くなる可能性が高く、工場稼働率も上向くとみている。セミナーでは、こうした需給バランスの詳細について、私の「FPD市場総論 Part 1~2025年以降のFPD市場の大局を洞察する」枠で解説する予定だ。
―パネル種別の動向について。
田村) 液晶は、中国メーカーへの一極集中で強さがさらに増し、寡占化によって稼働調整の足並みをうまく揃えることも学び、安定した収益を上げやすくなった。2024年は、まさにこの傾向がはっきりと出て、テレビ用パネルはプロフィットセンターになった。一方、有機ELは、テレビ用パネルで液晶との価格差が依然大きいため、新規顧客の開拓が難しく、中国テレビブランドも採用拡大に消極的なままであるため、工場稼働率が上がりにくい。2025年も我慢の展開を強いられそうだ。このため、モニター用にもサイズ展開を拡大していく流れになる。G8工場による量産投資が始まったが、IT用は価格が下がっていけば販売が伸びていくはず。足元ではiPad向けの調整などが話題となっているが、一時的な事象に過ぎず、2025年に向けた期待は大きい。
―貴社のJayden Lee氏が先端技術と投資動向について講演する予定ですね。
田村) 韓国パネルメーカーの戦略を中心に、OLEDoSを含めた有機ELの技術動向とFPDパネルメーカー全般の投資動向を「FPD先端技術及び投資動向」枠で解説する。また、私の「FPD市場総論 Part 2~田村が注目するトピックス」では、2030年あるいは35年までを視野に入れた長期の投資方向性も解説するつもりだ。テレビ用パネルの大型化が継続すれば、工場稼働率は回復していく。そうなれば、今後長期的にも生産能力の拡張継続は必要となり、そのシナリオを紹介するつもりだ。※11月18日事務局追記: 「~2035年長期分析」はPart 1で解説し、Part 2ではお客様アンケート結果に基づき「FPD成長市場」を主に解説します。
―親会社であるCounterpoint Researchの講演については。
田村) 「Counterpointが見るAI市場」「Counterpointが見るスマートフォン市場」「Counterpointが見るXR市場」とそれぞれ日本語で解説する。スマホやPCがAI機能を搭載する「オンデバイスAI」によって、今後は買い替え需要を促進することが期待される。講演では、AI市場のエコシステムなどを解説しつつ、AI搭載スマホやPCの普及率などの展望を披露する。
―量子ドット (QD) の技術&市場動向についても講演があります。
田村) 昭栄化学工業・QD事業部長の佐々木洋和氏をゲストスピーカーに迎えて「量子ドット最新技術&市場動向」をお届けする。QDは、QD-LCDやQDミニLEDバックライト搭載液晶、QD-OLEDなどに多用され、数あるFPD部材のなかでも高い成長を続けている材料だ。しかも、同社は米ナノシスを買収して市場をリードする立場にあり、どんな話をしていただけるのか私も楽しみにしている。
―楽しみなイベントになりそうですね。
田村) FPD市場 (面積ベース) は、コロナ禍のピークにようやく2024年でキャッチアップし、25年に上回る。米国による中国メーカーへの制裁検討や、インド企業による新規投資といった動きも新たに出ている。なかでもインド投資は、シャープらの技術支援によって来春までに計画の詳細が決まるとみており、2027年後半には量産立ち上げが実現するのではとみている。そうしたテーマをプログラム終盤の「電子デバイス産業新聞・澤登美英子記者によるセミナー全体質問Q&A」、後日動画配信による「年2回の定番企画!みずほ証券・中根康夫シニアアナリスト⇔DSCC田村喜男の"語り放題 2024秋"」の対談セッションで議論したいと考えている。さらには少しテーマを広げて「FPD関連企業が注目する半導体パッケージ市場~ガラスが重要テーマに」まで電子デバイス産業新聞・特別編集委員の津村明宏氏に語っていただく予定だ。「AI用ロジック半導体の進化に伴い、これに用いられる半導体パッケージ基板の市場規模が拡大している。次世代基板の開発を巡る動きのなかで、ガラスを製造に用いる検討が進んでおり、FPD関連メーカーからも注目度が高まっている。本セッションでは、パッケージ基板の概要とガラスを用いる背景などを簡潔に説明する。」(津村氏談)
ぜひ多くの皆様にご来場いただきたい。
※電子デバイス産業新聞による10月下旬のインタビュー記事を基に、セミナー事務局が一部補筆しました。