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FOR IMMEDIATE RELEASE: 07/12/2022
過剰在庫に悩むTV市場
DSCC アジア代表・田村喜男DSCC Japan (東京) -
[田村喜男] 本記事の解説動画を進呈します [7月特別企画]
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第53回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)
TV用パネルの在庫が近年まれに見るレベルにまで積み上がっている。これに伴い、FPDメーカー各社の工場稼働率も過去最低に近い水準へ下落しており、昨年90%にも達したLCD平均稼働率は2022年6月で75%を下回る状況となった。ロシア/ウクライナ問題やインフレといった諸問題に解決の道筋がつくまで復調の見通しを立てるのは難しく、関連各社はしばらく我慢の時が続きそうだ。
グラフのとおり、在庫指数は2021年4-6月期から上昇し始めたが、当初は2022年半ばから市況回復が見込まれていたため、価格反転を危惧したTV各社は2022年1-3月期もパネルを買い続けた。だが、前述のマイナス要因に巣ごもり需要の終焉も相まって予測よりも市況が大幅に悪化し、足元では「これ以上は購入できない」ほど在庫を抱えている。
DSCCの調べによると、昨年末の在庫指数は106で過剰在庫は3.2週間だったが、3月末には108で4.2週間に悪化。4月末には110で5.4週間とさらに深刻の度を深め、TV各社が発注カットに踏み切る事態となった。これを受けて、TV用LCD価格は5月に急落し、5-6月にようやく各社が本格的な稼働調整に踏み切った。その結果、6月末時点の在庫指数は108で4.4週間に改善したものの、すぐに過剰感が解消できるレベルではなくなっている。
現状で在庫水準は、パネルメーカーが通常3週間のところ4.5週間、TVブランドが通常5週間のところ7週間、販売店が通常7週間のところ8週間となっており、サプライチェーンのいたるところで在庫が積み上がっている。TV首位のSamsung Electronicsは5月からパネル発注を20%カットし、6月には一時的に発注を停止したが、すでに10週間以上の在庫を抱えているのではとの話も出ている。
これに連動して、パネル価格も下げ止まらない。1-3月期に50インチと55インチがキャッシュコストを割り込んだのに続き、4-6月期に入ってからは32インチから65インチ以上の全てのサイズで急落に転じ、6月時点で65インチ以下はすべてキャッシュコストを割り込んだ。これが工場稼働率に大きく影響しており、補助金による産業政策で稼働率をこれまで維持してきた中国FPDメーカーでさえ、本格的な稼働調整に踏み切る事態となっている。
FPD市場は、価格の下落と上昇を繰り返しながら成長を続けてきた。アップダウンのサイクルは通常9カ月-1年であり、これを当てはめると、2023年初頭には改善に転じることが期待される。だが、今回は在庫が貯まりすぎ、その水準はリーマン・ショック以降でまれに見るレベルであり、解消にはかなり時間を要しそうだ。地道な努力で少しずつ在庫を削減し、下がりきった価格を是正する動きが年内に出てくれば御の字ではないだろうか。
※本記事は、電子デバイス産業新聞の連載記事 (7月号) を基に、7月12日に田村が一部改訂したものです。
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