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FOR IMMEDIATE RELEASE: 11/10/2022
多様化するアドバンストテレビ市場
DSCC アジア代表・田村喜男DSCC Japan (東京) -
第57回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)
大画面、高画質のアドバンストテレビ市場は2022年、ミニLEDバックライト(BLU)技術と新型有機ELパネル「QD―OLED」の登場によって多様性が高まり、ブランド各社の競争が一段と激しくなった。だが、ロシア/ウクライナ問題や急激なインフレで需要は当初の期待ほど伸びず、2023年も苦戦することが予想される。
65インチのミニLED―BLU液晶テレビ、QD―OLEDテレビ、WOLEDテレビの平均価格と出荷台数見通しをグラフに示した。かつてはWOLED一択だったが、ミニLED―BLUの登場で液晶テレビ陣営は単価を上げることに成功し、LEDの搭載灯数によるが、現状ではWOLEDに近い価格で販売されている。
ちなみに、テレビ世界シェア首位のサムスンビジュアルディスプレイ(サムスンVD)のラインアップを見ると、最上位モデルはミニLED―BLU搭載の8K液晶、次に4KのQD―OLEDテレビとなっており、ブランドによってはミニLEDモデルが最上位のケースもある。これは、QD―OLED、WOLEDともに8Kパネルの量産が難しいため。LGエレクトロニクスは77インチと88インチの8K WOLEDテレビを商品化済みだが、60インチ台は発売できておらず、サムスンのQD―OLEDには今のところ8Kパネルの量産化計画自体がない。
ミニLED液晶テレビは参入ブランドの増加で今後も台数が順調に伸びていきそうだが、その多くが中国ブランドであるため、競争は激しさを増している。QD―OLEDテレビは現在のところサムスンとソニーが商品化済みだが、2023年には新たにTCLが採用する見通し。TCLはWOLEDテレビを商品化していないため、QD―OLEDで有機ELテレビに初参入するかたちとなる。
WOLEDは日本企業を含めて多くのテレビブランドがすでに採用しており、中国ではスカイワースとハイセンス(東芝)、シャオミーなどが商品化済みだが、中国パネルメーカーが量産化するまでは戦略的に増量拡販する見通しがない。サムスンVDとの供給交渉が急転直下でまとまれば大きな需要増が見込めるが、その可能性は現時点ではきわめて薄い。
LGディスプレーは韓国の液晶G7工場「P7」の稼働を年末に停止し、将来はこれをWOLED工場へ転換する構想を持つが、前述の理由から容易に決断できない。一方、サムスンディスプレーもQD―OLEDの月産能力を現在の3万枚から効率アップで4万枚へ高める計画を持つが、現状でまだ稼働率に余裕があるため、増強を急ぐ必要はなさそうだ。
需要見通しが厳しいなかで、2023年はパネルの多様化がさらに進む。QD―OLEDは現在の55インチと65インチに加えて、77インチを量産化する計画。対するWOLEDは、より明るい新型パネル「WOLED EX」の量産拡大を進め、QD―OLEDの輝度に対抗、さらに輝度で差別化しようとするミニLED液晶を追撃する構えだ。
DSCCアジア代表・田村喜男
※本記事中の企業名・用語などは電子デバイス産業新聞様の掲載基準に沿っています(大文字表記や「TV」→「テレビ」など)。
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