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FOR IMMEDIATE RELEASE: 01/10/2023
2023年テレビ市場の注目点
DSCC アジア代表・田村喜男DSCC Japan (東京) -
第59回 DSCC田村のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞) ※一部データ更新
2022年のテレビ市場は、台数ベースで前年比7%減、面積ベースで同5%減とマイナス成長になったとみている。中国・独身の日、米国のブラックフライデー商戦ともに期待されたほどには伸びず、在庫は年央から年末に向けて減少したものの、正常化するには23年春先まで時間を要することになりそうだ。
厳しい市況のなか迎えた2023年は、台数ベースで1%増、面積ベースで4%増を予測。パネル価格の下落で大画面テレビの価格も下がるため面積需要の増加が見込まれるが、ミニLEDバックライトが登場した21年、QD―OLEDやWOLED―EXが登場した22年と比べて目玉は少ない。ハイエンド品が売れる欧米のうち、長引く戦火で欧州市場の低迷が続いており、アドバンストテレビ市場の伸びを抑制することになるだろう。
2022年の傾向として、中国ブランドが北米市場以外で世界的にシェアを向上しており、韓国ブランドは押され気味。23年に韓国ブランドがシェアをどう巻き返していくのかが注目される。
トップシェアのサムスンは2023年、ミニLED液晶テレビは22年並みの230万台レベルを維持する一方、QD―OLEDテレビは77インチも投入し、販売エリアを欧米から世界へ展開して、22年比倍増以上の年間100万台を狙う。また、現在は110インチのみを販売しているマイクロLEDテレビに99インチと89インチを追加する見通し。なかでも89インチは、酸化物TFTとガラスベースのバックプレーンを組み合わせた初のモデルになりそうだ。
パネル事業を担当するサムスンディスプレー(SDC)は、2022年にテレビ用液晶パネルの生産から完全撤退した。このため、テレビ事業を統括するサムスンビジュアルディスプレイのパネル調達戦略に注目が集まるが、LGディスプレー(LGD)からの調達が噂されたWOLEDに関しては交渉に進展がみられない。液晶に関しては、SDC撤退に伴い、BOEからの調達は増やさない一方、他の中国勢や台湾勢からの購入を増やすとみられている。
SDCと同様に、LGDもテレビ用液晶の生産を減らしており、韓国のP7工場は2022年12月に生産を停止。P8工場は生産継続中であるものの、IT用の生産比率を増やしている。中国広州の液晶G8.5工場も23年から生産能力を約半分休止させる見通し。WOLEDの販売を拡大するため、22年はテレビ用に42インチと97インチをリリースしたが、23年は先般発表した27インチや45インチを新サイズとしてモニター向けに拡販していく。
ちなみに、LGDが2023年から生産を停止する中国工場の一部と、SDCが22年に生産を停止したT8工場に関し、インドで液晶新工場の整備を計画しているベダンタが購入を検討しているようだ。並行して新規装置の購入も検討しており、中古か新規のG8.5クラスでテレビ用をメーンに、モニター、ノートPC用液晶も合わせて生産を立ち上げたい考え。こうした再編がどこまで具体化するかも注目ポイントの1つになる。
(DSCCアジア代表 田村喜男)
※本記事中の企業名・用語などは電子デバイス産業新聞様の掲載基準に沿っています(大文字表記など)。
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