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FOR IMMEDIATE RELEASE: 02/02/2025


高止まりが続く工場稼働率~トランプ関税発動時期が焦点
日本支社長 田村喜男

Counterpoint Research FPD部門 (東京) -

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第84回 Counterpoint Research 田村喜男のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)

液晶パネル工場の稼働率が例年にない高水準を維持している。例年であれば、10-12月期に稼働率が下がり、旧正月に大底となり、その後春先から上昇に転じるという流れだが、2024年秋から稼働率が高い状態が続いており、足元では例年に比べて5%ほど高くなっている。

工場稼働率は、国慶節休暇がある2024年10月に80%を下回る水準にまで下落したが、11月から予想以上に好転した。その理由は大きく2つ考えられる。1つは中国政府が家電の買い替えを促進する補助金政策を実施したこと、もう1つは米大統領選でトランプ氏が再選を果たし、追加関税が発動される前に調達を増やしておこうとする駆け込み需要が発生したこと、である。

加えて、中国政府は1月に入って新たな補助金政策「消費財の買い替え推進」を公表した。TVやパソコンを含む12種類の家電について販売価格の15%を補助 (1件最大2000元) することに加え、携帯電話とタブレットおよびスマートウオッチというデジタル3製品についても販売価格の15%を補助する (1件最大500元) としており、家電については24年秋に実施した政策を継続するかたちとなった。

これらに伴って工場稼働率は11月以降、80%を上回る状態が継続。Counterpoint Researchの調べでは、12月と1月のG10.5工場は90%以上、G8.5工場も85%以上の稼働率で操業を続けている。2025年の旧正月休暇は1月27日週が中心となるため、2月だった2024年と比べて25年は1月の工場稼働率が低くなりやすいはずであるが、液晶大手の1月稼働率は、BOEが88%、CSOTが92%となっており、やはり例年になく高水準だ。

また、稼働率の上昇とともに、65インチ以上は12月から、55インチについても1月からパネル価格が上昇に転じている。

今後の焦点は、稼働率の高い状況がいつまで継続するかだ。中国の補助金政策は終了時期が明示されていないため、当面はトランプ政権が追加関税をいつ発動させるかが焦点となる。一部の国に対して2月1日から発動すると発言しているものの、まだ不透明な部分も多い。例年であれば、中国最大のECセールの1つである618商戦に向けてパネル調達が増えてくるため、4-6月期までは稼働率が比較的高い水準で継続する可能性が高いと見ている。

ただし、1-3月期が例年より強すぎる反動は必ず来るはずで、その反動調整のタイミングを読むのは難しいが、7-9月期には工場稼働率、パネル価格ともに下落することは避けられないだろう。追加関税が発動されれば、パネル価格に下げ圧力が強まることも予想される。25年は「下期が厳しい」展開になりそうだ。

※出典: Counterpoint Research FPD部門 (旧DSCC)

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