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FOR IMMEDIATE RELEASE: 03/06/2025
iPhone用パネルの供給シェア~16e登場も17は前年と大差なし
日本支社長 田村喜男Counterpoint Research FPD部門 (東京) -
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第85回 Counterpoint Research 田村喜男のFPD直球解説 (電子デバイス産業新聞)
AppleがiPhoneの新モデルとして「16e」を発売した。これまでエントリーモデルとして提供してきた「SE」の後継機にあたるが、仕様としては最新モデルの16を多少スペックダウンしたようなかたちになった。パネルサイズはSEの4.7インチから6.1インチへ大型化され、ホームボタンがなくなった。加えて、AI対応を最優先としたこともあり、発売時の価格はSEの429ドルから16eは599ドルへ高くなった。
16eの6.1インチ有機ELパネルは、2年前にリリースされた14に搭載されたものと同じである。バックプレーンはLTPS。需要は年間約2000万台レベルと想定されており、BOEがメーンサプライヤーとして約半分を供給し、残りをLG Display (LGD) とSamsung Display (SDC) が分け合うかたちとなる。
iPhone全モデルの合計パネル需要は年間2.5億台あるため、それから考えれば16eの構成比はそれほど大きくないが、16eの登場によってSEが事実上消滅したため、iPhone向け液晶パネルの需要はこれで完全に無くなる。そこに有機ELが入ってくるため、BOEにとってはApple内の供給シェアをより確保しやすい状況が整ったと言えるだろう。
これまでAppleは、iPhone用パネルの調達シェアをSDC、LGD、BOEの3社のシェアを可能な範囲で僅差にしていくことを目標にしてきた。だが、Counterpoint Researchの試算では、2025年も3社の供給シェアはそう大きく変わらず、引き続きSDCが半分、LGDが3割、BOEが2割を占める見通しだ。
16eに続き、今秋の発売が見込まれる「17」は従来とラインアップが変わる。従来は通常モデル、Plus、Pro、Pro Maxという4モデル展開だったが、17はPlusに代わって軽量薄型の「Slim」が加わる見通し。これはPlusの売れ行きが他の3モデルに比べて芳しくなかったことによるテコ入れ策だ。
パネルサイズは、6.7インチだったPlusに対して、Slimは6.55インチと若干小さくなり、本体の厚さが薄型化され、他の3モデルとの差異化が図られる。また、Slimを含めた4モデルすべてがAI対応、LTPOバックプレーンが採用され、120Hz駆動となる見通しだ。
そのなかでパネルの供給シェアが前年と大きく変わらないと目される最大の理由は、BOEがLTPOの量産にまだ苦戦しており、供給リスクを抱えているためだ。これに伴い、モデルごとの供給シェアを前年と変更するのが難しく、17でも韓国勢が上位2つのProモデルを独占するという構図が継続する見込みとなっている。
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